この記事では語源mort(死)に関連する英単語を紹介します。
目次から読みたい箇所をピックアップして読んでください。
- amortize /ˈæmɚtὰɪz/ : 返済する、減価償却する
- immortal /imɔ’ːrtl/ : 不滅の
- morbid /mˈɔɚbɪd/ : 病的な
- moribund /mˈɔːrəb`ʌnd/ : 瀕死の
- mortal /mˈɔɚṭl/ : 死ぬべき運命の、致命的な
- mortality /mɔɚtˈæləṭi/ : 死亡率
- mortgage /mˈɔɚgɪdʒ/ : 抵当、住宅ローン
- mortmain /mˈɔɚtmèɪn/ : 死手譲渡
- mortician /mɔɚtíʃən/ : 葬儀屋
- mortify /mˈɔɚṭəfὰɪ/ : 屈辱を感じさせる、肉欲を断つ
- mortuary /mˈɔɚtʃuèri/ : 死体安置所
- postmortem : 検死
amortize /ˈæmɚtὰɪz/ : 返済する、減価償却する
amortizeの意味は「借金を定額で返済する」で、語源はad(方向)とmortus(死んだ)に由来し、同義語はrepayとpay backです。例えば住宅ローンを組んだら、きちんと働いてローンを返済していく必要があります(to amortize a housing loan)。
amortizeの二つ目の意味は「減価償却する」で、主に会計用語として使われます。減価償却(amortization)とは、資産の価値を使った年数に応じて減らしていく会計処理のことです。例えば事務所の改築に1000万円かかったとして、そのまま費用化するとその年は大赤字になってしまいます。そこで耐用年数が10年なら100万円ごとに資産の価値を減らして、少しずつ費用化するのです。
immortal /imɔ’ːrtl/ : 不滅の
immortalの意味は「不滅の」で、語源はin(否定)とmortalis(死の)に由来します。immortalは生命がずっと長らえたり、音楽や文学が廃れない様子を表すときに使われます。例えば賢者の石を使うと、永遠の命(immortal life)が手にはいるとされています。しかし人が死にゆく運命にあることは不滅の心理(immortal truth)なので、誰も抗うことはできません。また神話で登場するフェニックスは死んでもまた蘇る伝説の不死鳥(immortal bird)です。
morbid /mˈɔɚbɪd/ : 病的な
morbidの意味は「病的な」で、語源はmorbus(病気)に由来します。morbidは病気なまでに強い関心がある様子を表します。例えば拷問を題材にした本ばかり読んでいると、拷問に病的な興味を抱いてしまうかもしれません(to have a morbid curiosity about torture)。哲学書を読みすぎると、死への病的な興味が湧くことがあります(to have a morbid interest in death)。また子供の頃に犬に噛まれたトラウマなどがあると、大人になっても犬への恐怖症に苦しむことになります(to suffer from a morbid fear of dogs)。
moribund /mˈɔːrəb`ʌnd/ : 瀕死の
moribundの意味は「瀕死の」で、語源はmori(死)に由来し、同義語はdyingです。医療を題材とした作品では、凄腕の医者が瀕死の患者の命(moribund patient)を救い出します。
mortal /mˈɔɚṭl/ : 死ぬべき運命の、致命的な
mortalの意味は「不死ではない」で、語源はmortalis(死に服する)に由来し、対義語はimmortalです。mortalに対応する日本語がないので、単体では翻訳しにくい単語です。mortalは命が有限であることを表します。例えば家族や知人が亡くなって葬式を終えると、人の死は免れないと気づきます(to remind us that we are mortal)。
mortalの二つ目の意味は「致命的」で、同義語はfatal, lethal, deadlyです。例えば交通事故などで致命傷を負った場合(to receive a mortal wound)、すぐに手当をしないと死んでしまいます。戦争中は時として敵兵士と死闘(mortal combat)を繰り広げることになります。
mortality /mɔɚtˈæləṭi/ : 死亡率
mortalityの意味は「死亡率」で、語源はmortalis(死に服する)に由来し、同義語はdeath rateです。死亡率(mortality rate)とは、一定の人口に対する死者の割合のことで、通常は人口1000に対する人数で表します。死亡率は医療の進歩とともに下がっていくので、先進国では死亡率は低く、発展途上国では高いとされています。
mortgage /mˈɔɚgɪdʒ/ : 抵当、住宅ローン
mortgageの意味は「抵当」で、語源はmort(死んだ)とgage(抵当物)に由来し、同義語はsecurityです。抵当(mortgage)とは、お金を借りるときに借り主が自分の財産を保証に当てることです。お金を貸す側にとって最も恐ろしいのは借金を踏み倒されることなので、信用のない人にお金を貸す場合は家や土地を担保にしてもらうのです。そして借金が返せないと、保証にあてた家や土地が失われることで、mortgageは「財産の死」につながるわけですね。
ただ起業家ならともかく、普通の人が家や土地を担保にして大金を借りる機会はマイホームを建てるときくらいに限られています。そこでmortgageは「住宅ローン」を意味するようになりました。普通は家と土地を一括購入できるお金を持っていないので、30年ローンを組んで(to take out a 30 year mortgage)、少しずつ時間をかけてローンを返済します(to pay off the mortgage)。
mortmain /mˈɔɚtmèɪn/ : 死手譲渡
mortmainの意味は「死手譲渡」で、語源はmort(死)とmanus(手)に由来します。死手譲渡(mortmain)とは、教会などが永久に不動産を保有することです。
mortician /mɔɚtíʃən/ : 葬儀屋
morticianの意味は「葬儀屋」で、語源はmori(死)とician(治療者)に由来し、同義語はundertakerです。葬儀屋の仕事(mortician’s job)は、死人の家族の代わりに葬式や埋葬の手配を行うことです。
mortify /mˈɔɚṭəfὰɪ/ : 屈辱を感じさせる、肉欲を断つ
mortifyの意味は「屈辱を感じさせる」で、語源はmors(死)とfacere(行う)に由来します。原義は「殺す」で、同義語はhumiliateです。
mortifyの二つ目の意味は「肉欲を断つ」で、宗教の分野で使われます。例えば修行僧は厳しい修行を通じて肉欲を抑えます(to mortify the flesh)。
mortuary /mˈɔɚtʃuèri/ : 死体安置所
mortuaryの意味は「死体安置所」で、語源はmortuus(死んだ)に由来し、同義語はmorgueです。死体安置所(mortuary)とは、葬式の準備が終わるまで死体を保管しておく場所のことで、病院では霊安室と呼ばれます。
postmortem : 検死
postmortemの意味は「検死」で、語源はpost(後)とmors(死)に由来し、同義語はautopsyです。検死(postmortem)とは、遺体を調べて死因を突き止める作業のことです。遺体の死因が自殺か他殺かで警察の対応も変わってきます。他殺なら事件性があるので、調査をする必要がありますからね。